2006年5月19日金曜日

情け

 先週の日曜日、教え子の試合がありました。春期大会の団体戦です。僕はコーチなので、当然見に行きました。

 サイドコーチとして試合に臨んだ時、色々な事を教え子に言います。僕は情け深い人間なので余り厳しい事は言いません。例えば「そんな事も分からないならバドミントンなんかやめてしまえ」「俺の言う事が聞けないなら死ね」という程度です。
 その助言は読んで分かる通り優しさに満ち溢れていますが、それだけではなく多少の厳しさも含まれています。しかし、それはひとえ教え子への愛故です。そもそも僕の指摘は常に正しく的確です。「がんばれ」「勝て」「負けるな」「君達がプレイしているのは羽子板ではなくバドミントンだ」というように。間違っても「ラケットの変わりに椅子を使え」や「次の対戦相手は私の妻だ(そうなったら恐しい事だ)」といった指摘はしません。

 きっと僕の優しさに教え子も感動しているだろうと思い、試合の後にそれとなく聞いてみました。

私「毎回、試合の度にこうして優しくサイドコーチしてもらえるなんて、めったに無いぞ。感謝しなさい」
教え子(以下、子)「厳しいの間違いではありませんか? 些細なミスでも烈火の如く怒鳴り散らしますし」
私「根も葉も無い事を言うんじゃない。私の心は海よりも広いはずだ」
子「海って会場の入口にあった水溜まりの事ですよね」
私「失敬だな君は。恩知らずめ」
子「私が恩知らずなら、コーチは恥知らずですね。コーチの心は、せいぜい猫の額よりも広大で、優しさは雀の涙よりも膨大という程度です」
私「わざわざ休日を潰してまで、勝つ見込みも無い君達の応援に来ているんだ。少しは誉めたらどうなんだ」
子「精一杯、誉めていますよ。事実を言わないだけありがたいと思って下さい。本当ならば、コーチの心は猫の額よりも狭いし、雀の涙ほどの優しさもない、と言う所です」
私「き、君はこの2年間で私から何を学んだんだ」
子「反則スレスレのサーブの打ち方、主審にばれないように違反をする方法、線審を脅してジャッジを有利にする術、後はおためごかしの効果的な使い方、です」
私「もう閉会式が始まる。グズグズしていないで行きなさい」



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