2015年3月6日金曜日

D&D5版 両手持ちと二刀流

D&D5 版に於ける両手持ち武器 (Two-handed weapon) と二刀流 (Two-weapon fighting) のダメージ効率を比較します。先に結論を書くと二刀流の方が強いです。

まずは前提条件。比較に利用する武器は以下を用います。

両手持ち
Greatsword (2d6) 及び Greataxe (1d12)
二刀流
Shortsword (1d6) 及び Longsword (1d8)

現在の所、両手持ち武器で Finesse 属性 (Str の替わりに Dex で命中判定とダメージ修正を決められる) は存在しません。二刀流は Finesse 属性の物を使えば Dex を主たる能力にして行なう事も可能ですが Str の場合と比べて差は無いので、両手持ちにしろ二刀流にしろ今回は Str を使って計算します。

という訳でキャラクタの Str16 (+3) を前提として話を進めます。また出目 1 は自動失敗、出目 20 はクリティカルヒットである事は考慮しますが、それ以外の命中確率は考慮しません。

Magic Item は考慮に入れません。両手持ち、二刀流それぞれについて

  1. 適切な Feat も Fighting Style も取得していない素の状態
  2. 適切な Fighting Style は取得したが Feat は取得していない状態
  3. 適切な Feat は取得したが Fighting Style は取得していない状態
  4. Feat、Fighting Style 共に適切な物を取得した状態

について比較します。両手持ちで取得するのは

Fighting Style
Great Weapon Fighting
Feat
Great Weapon Master

二刀流で取得するのは

Fighting Style
Two-weapon fighitng
Feat
Dual Wielder

とします。

では、面倒ですがルールを確認しながら行きましょう。両手持ちに関しては特別なルールは殆どありません。3 版の様に両手持ちすると Str のダメージへのボーナスが増加するという事もありません。強いていうならが S サイズのキャラクタの両手持ち関するルールがありますが、今回は S サイズのキャラクタは無視します (S サイズキャラクタでの二刀流と両手持ちの比較は殆ど意味がありません。著しく両手持ちが不利です)。

二刀流に関連するルールをまとめます。そもそも二刀流は以下の条件を満せば誰にでも可能です。

  • 両手とも Light 属性の武器である事

ただしこの場合、Off-hand 側の武器ダメージには能力値のボーナスは乗りません。Fighter/Ranger の Fighting Style で Two-weapon fighting を取得すると、Off-hand 側にも能力値ボーナスが加算可能になります。また Dual Wielder の Feat を取得すると Light 属性の武器である必要も無くなります。

これで準備が整いました。それぞれ場合のダメージ期待値を見ていきましょう。

● Str16、Fighting Style、Feat 取得無し

両手持ち
Greatsword: 2d6+3 [平均値: 9.85]
Greataxe: 1d12+3 [平均値: 9.35]
二刀流
Main-hand: Shortsword 1d6+3 [平均値: 6.35]
Off-hand: Shortsword 1d6 [平均値: 3.5]
[合計: 9.85]

この状態では Greatsword の両手持ちと Shorsword 二刀流は同じ結果になりました。Greataxe は 0.5 点低くなっています。要するに 2d6 と 1d12 の期待値の差です。

● Str16、Fighting Style 取得、Feat 取得無し

両手持ち
Greatsword: 2d6+3 [平均値: 11.14]
Greataxe: 1d12+3 [平均値: 10.3]
二刀流
Main-hand: Shortsword 1d6+3 [平均値: 6.35]
Off-hand: Shortsword 1d6+3 [平均値: 6.35]
[合計: 12.7]

Fighting Style により両手持ちの場合はダメージの出目 1、2 は 1 回再ロール可能、二刀流は Off-hand にも能力値が加算可能になりました。この時点で二刀流は両手持ちに対して 1.0 点以上高くなりました。

● Str16、Fighting Style 取得無し、Feat 取得

両手持ち
Greatsword: 2d6+3 [平均値: 10.4]
Greataxe: 1d12+3 [平均値: 9.83]
二刀流
Main-hand: Longsword 1d8+3 [平均値: 7.35]
Off-hand: Longsword 1d8 [平均値: 4.5]
[合計: 11.85]

両手持ちは Great Weapon Master の Feat により出目 20 の時は bonus action で追加攻撃が可能になっています。二刀流は Dual Wielder により武器が両手共に Longsword にありました。どちらも Fighting Style の取得に比べるとダメージの上昇は緩やかですが、やはりこの時も二刀流が両手持ちに対して 1.5 点ほど高くなりました。

● Str16、Fighting Style 取得、Feat 取得

両手持ち
Greatsword: 2d6+3 [平均値: 11.6]
Greataxe: 1d12+3 [平均値: 10.7]
二刀流
Main-hand: Longsword 1d8+3 [平均値: 7.35]
Off-hand: Longsword 1d8+3 [平均値: 7.35]
[合計: 14.7]

Fighting Style も Feat も取得した状態です。Human Variant のルールを使えば 1 レベルでもこれが実現可能です。ここまで来ると二刀流が圧倒的です。両手持ちに対して 3.0 点以上も高くなっています。また Dual Wielder の特技は両手に武器を持っている状態ならば AC+1 ですので、両手持ちに比べて AC も高いのです。

この様にダメージに関して言えば両手持ちは二刀流に比べて単純に不利な事が分かりました。また同じ両手持ちでも 2d6 と 1d12 の武器では後者が常に劣勢です。これは Half-orc の種族特徴であるクリティカルヒットした時にダイス 1 つ分ダメージ追加を考慮しても覆りません (クリティカルヒット時のダメージ増加というのは、平均値に対して 5%しか寄与しないので当然ですが)。

これだけ両手持ちと二刀流に差があるのは不思議です。3 版の時に両手持ちが強烈だった反動で 4 版では両手持ちが弱体化しましたが、その流れでしょうか。現時点では両手持ちの良さというのは殆どありません。ダメージのみならず AC でも負けています。3 版と違い二刀流を十全に活かす為に沢山の Feat が必要という訳でもありません。強いて言うならば両手持ちは魔法の武器が 1 つあれば良いという点と多くの Reach 属性武器が両手持ちであるという事くらいでしょうか。

この状況を覆す方法の 1 つとしては Great Weapon Master Feat で得られる命中を-5 してダメージを +10 する能力を活用する方法です。これを用いた場合のダメージ比較をするには命中率を考慮する必要があるので、また気力のある時にでも……。

4 件のコメント:

  1. はじめまして、5e記事興味深く読んでおります。自分も両手武器の弱体化にガッカリしたクチです。

    実際に遊んで得た実感だと、二刀流はボーナス・アクションを使用するため、行動に余裕がなさそうでした(大抵のクラスでボーナス・アクションは多用するので)。
    また戦闘スタイルと特技を二刀流でスタートするのに比べ、両手武器だと《Heavy Armor Master》を取れるぶん頑丈な印象でした。戦闘スタイルはグレートソードを使っていると大業物のメリットが薄いので、防御を選ぶのがよさそうです。
    二刀流は特化型、両手武器はアベレージヒッターという感じでしょうか。片手武器で決闘術戦闘スタイルを取っても打撃力は両手武器とあんまり変わらないはずですけど、個人的には2d6という安定しやすいグレートソードやモールで殴る方が好きです。

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  2. >銀河アズマさん

    はじめまして。

    結構僕とは印象が違いますね。僕の考えでは前衛はbonus actionは余裕があります。例えばFighterならEldrich KnighになってSpellを使えるようにならない限り、bonus actionはencounter powerであるsecond windくらいです。仮に1回の戦闘で10ラウンド戦うとするならばsecond windを使う1ラウンド以外の9ラウンド分のbonus actionは浮いています。この9回で2回目の攻撃が出来る二刀流は非常に優秀という考えです。Barbarianもbonus actionの能力は無いですし、Paladin/Rangerもbonus actionのspellくらいであとは殆どありません。Monkはそもそも二刀流をする価値が無いです。

    またFighting StyleのGreat Weapon Fightingは、GreataxeよりはGreatswordにとって価値が高い能力です。1d12よりも2d6の方がダメージダイスで1、2の出目が出る確率が高いです。実際この記事を見てもらえば分かりますが、このスタイルを取得した時のダメージ上昇はGreataxeよりもGreatswordの方が高いです。なのでこのスタイルを選択するメリットはGreataxe使いよりもGreatsword使いの方が多いのです。

    5版では盾の効果が非常に大きいので防御を重視するならば何よりも盾を持つのが良いと思います。1レベルならモンスタのHPも低いので2d6+3と1d8+3で撃破率に大きな差は出ないかなと推測しています。

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  3. こんにちは、はじめまして。
    日本語で書かれた5eの記事は少ないのでこういう記事は嬉しい限りです。

    1-4レベルは二刀流が猛威をふるう期間だと思っています。
    5レベルでExtra Attackを得てから、また、Fighterに限定されますが11レベルでExtra Attack (2)を得てからはどうでしょうか?

    仮に4レベルでStr+2したとすると、
    ● Fighter5、Str18、Fighting Style 取得、Feat 取得
    Greatsword: 平均値 12.1/attack x2 attacks + 0.0975 x 12.1 = 25.38 (※)
      (※)端数処理おかしいかもしれませんが、25点台にはなるはず・・・
    Longsword二刀流: 平均値 8.35/attack x3 attacks = 25.05

    ほぼ同じダメージになることが分かります。
    二刀流の方がAC1点高くなりますが、
    両手武器側にも優位点(クリティカル発生時以外bonus actionに空きがある、opportunity attack 1回あたりのダメージが大きい、など)は
    あるので、わりといい勝負なのではないでしょうか。

    11レベルになるとどちらも攻撃回数が1回ずつ増えるので、攻撃1回あたりのダメージが大きい分、両手武器の方がトータルは大きくなりそうです。

    ただし、武器固有部分以外のダメージ修正(Strがさらに上昇する、ダメージを増やすスペルの効果を受ける、など)が大きくなればなるほど、
    攻撃回数が1回多い二刀流に有利に働くはずなので、ダメージ修正を数点積み増すことができればまた話が変わってきますね。

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  4. >>KK-Rさん

    おお! Extra Attackの事は抜けていました。大変有用な指摘ありがとうございます。そもそもこの記事を書く動機が1レベルPCを作る時のDPS計算だったので高レベルの考慮が抜けていました。

    教えて頂いた点を加味して追加記事をその内書こうと思います。

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