2015年4月27日月曜日

【今日の読書】なぜ地形と地理がわかると江戸時代がこんなに面白くなるのか [753]

書名
なぜ地形と地理がわかると江戸時代がこんなに面白くなるのか
著者
大石 学
出版
洋泉社
価格
800円
ISBN
978-4800305305

本日読了。題名が長過ぎますね。手持ちの本が無かったので、休み時間にふらっと書店に行ってタイトルと表紙だけで買った本。結果的に失敗でした。

自転車で都内の方々を走っていると、色々と面白い事に気付きます。例えば地名と地形の一致です。「谷」と付いた地名——都内であれば渋谷、四ツ谷、谷中等は確かに谷間にあるんですね。渋谷は特に分かり易くて、JR 渋谷駅を出るとどちらに進んでも登り坂があります。神泉の方に進む道は「道玄坂」ですし、南青山に進む道は「宮益坂」です。少し広い範囲で渋谷周辺を見てみると、南には代官「山」、東には青「山」があります。他にも山、台、丘 (岡)、坂と付く地名は大抵ちょっとした高台になっていて、そこに自転車で近付くと必ず坂に出会います。高輪台、自由が丘、白山、飛鳥山、赤坂、神楽坂等々。

東京 (江戸) というのは、元々武蔵野台地の東端に出来た町です。台地からは大小の河川が東京湾に流れ込んでいます (或いは、流れ込んでいました)。従って台地を流れる河川とその支流が谷を形成していったのです。

といった様な話が掘り下げて書かれているかな、と思って買ってみたのですが、既に知っている以上の事は江戸に関する事で言えば殆どありませんでした。何より一つ一つの項目について、見開き 1 ページから 2 ページ程度で完結してしまっているので載っている情報が浅いのです。しかも各項目が関連性があったり連続した内容になっている訳でも無いので、ページを捲ると全然違う話題に飛んでいきます。これでは系統だった知識にはなりません。月刊誌の連載を何も考えずに 1 冊の本に纏めたかの様な作りになっています。

そんな中で数少ない面白い所は、江戸時代の様々な都市の概略図が大小色々なスケールで掲載されている事です。例えば江戸時代に「江戸」と呼ばれる地域がどの程度の範囲までだったのか、という事が一目で分かる絵があるのは嬉しい。新書で安い本なので、この概略図があるだけでも、損をしたという気分には成らずに済みました。

話は変わりますが国土地理院が作成している地形図の1つにデジタル標高地形図という物があります。

国土地理院 デジタル標高地形図 東京区部

僕はこれをポスターサイズに印刷して販売した物を持っていて、居間の壁に飾ってあります。これは大変良く出来た地図でして、眺めると都内の地形が非常に良く分かります。前述した、江戸の町が武蔵野台地の東端に作られた事や東京湾に流れ込む大小の河川と支流が台地に谷を穿っている事も一目瞭然です。都内の未知の地域を自転車で走る時にはこの標高図を見ておくと、どこに坂があってどうすれば回避出来るのかなどが予測出来るようになります。

江戸の初期には、現在の日比谷公園付近が入江であった事も高低差から容易に想像がつきますし、佃島が本当に島だった事も直ぐに分かるのです。隅田川と江戸川に挟まれた地域が海抜ゼロメートル地帯であって、古くは隅田川、荒川、江戸川などの氾濫に悩まされたのだろうという事まで思い至ったりします。

ブラタモリという番組にはこういったちょっとした雑学が出てきて楽しいのですが、江戸周辺の地形について歴史含みで詳細に解説してくれる本でも無いものでしょうか。

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